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■ Report
  
第92回「Eビジネス研究会」                         平成19年10月24日(水) 
   
テ   ー  マ:

『爆発的成長を遂げる「前略プロフィール」の実態とケータイ世代の実像』
〜楽天グループが取り組む、ケータイサービス戦略〜

   
Eビジネス:
マイスター
楽天株式会社
開発・編成統括本部 プロデュース本部
新サービス部門 部門長
浅見 貴之 氏
    

92回目の今回は、楽天株式会社 開発・編成統括本部 新サービス部門 部門長の浅見 貴之氏をお迎えしました。ケータイ版楽天市場、楽天スーパーポイントなどの主要サービスを歴任した浅見氏の視点から、『前略プロフィールと楽天のケータイ/サービス戦略について』 をテーマにお話いただきました。


■前略プロフィールとは


誰でも手軽に自己紹介ページを作成できる「プロフ」サイト。プロフィールを略してユーザが呼び始めた名前です。日本の女子高生の半数近くがプロフを所有、首都圏では7割にも達すると報道されています。「ネットで自己紹介」が女子高生のトレンドになる中、他社の参入も相次いでいます。


2007年2月、日本テレビ「ズームイン!! SUPER」内の「バードウォッチング」というコーナーで4分間、前略プロフが特集されました。番組中、渋谷の街なかで女子高生にアンケートをとったところ、認知度は100%。メディアに露出するにつれ、社内で主力サービスとして捉えられるようになりました。もちろん批判的な報道もされます。情報流出、悪用の恐れはないのか、問題点を指摘する記事も存在します。今日は、前略プロフを運営する上でのさまざまなノウハウ、対策についても、お話ししようと思っています。


■正式には、CGIBOY 前略プロフィール



あまり知られていませんが、前略プロフはCGIBOYというコミュニティサービスブランドの1サービスという位置づけです。CGIBOYは、弊社のグループ会社でアクセス解析ツールの開発をしていたキープライム株式会社が運営していたものです。2002年4月にサービスを開始、同年12月に楽天の子会社となりました。つまり、アクセス解析ツールのオプションとして生まれたものなのです。


CGIBOYというのは、プロフィール、日記帳、掲示板、チャット等のコミュニティサービスの集まりです。web日記帳も、ブログが流行る前からありました。


前略プロフで編集できる項目は全部で65種類。持っている機能は、好きな画像(写真)をアップロードできること、背景を24色から選べること、ゲストブック(掲示板)を設置できること、好きなサイトへのリンクを設定できること、そして、フリーワードでのプロフ検索が可能です。


PCでインターネットをやっている人から見ると、何でこれが流行るんだろう、理解不能だと思われるかもしれません。ケータイ・PC両対応なのですが、現在は、8割以上がケータイユーザです。長い間、いたってシンプルなサービスでしたが、今年になってリニューアルを進め、システム、インターフェース含め、プログラムを作り直しました。


■ページビューと会員増加ペース



2007年9月度の実績では、モバイル平均で4600万PV/日、月間総PVは14億PV/月、会員数は437万人でした。会員数の内訳は、モバイル310万人対、PC120万人です。PCの会員は伸びが止まっていますがモバイル会員はケータイのパケット定額制の開始と同時に利用数が急増、きれいな右肩上がりになっています。


1日のページビュー数を時間あたりに直すと、1時間200万PV。1分間で3〜4万PVということになります。システム的にはハードウェアのほうにコストをかけて運営しています。投資もしながら運営のノウハウも求められるのです。


■編集可能項目と、実際の使われ方


前略プロフィールのサンプル画像をお見せします。紹介しているのは弊社の読者モデルのプロフィールです。実際には、一般の女子高生のプロフはこのようなわけにはいきません。プリクラのノリ、そのままです。友達どうしや大勢で撮った写真に、ケータイの画像編集機能などを駆使して、絵や落書きをしたり、文字を入れたり。プリクラ風の画像をプロフにアップしたり、友達と写真を送り合ったりして楽しんでいるのが分かります。


編集可能なプロフィールの65項目は、ノリで考えられたものを含め、サービス開始からほとんど変えていません。星座や血液型、好きな芸能人、趣味などとともに、例えば「前世」、「世界平和に必要なのは」、「手の長さ」のようにギャップを感じさせるものもあります。実際にユーザがこのような項目に対する自己紹介を書いたページをお見せします。この例では、20回くらいボタンを押さないといけないほど、長いスクロールの画面になっています。 高機能は提供していないので、ユーザが勝手に作り上げて、今のような独自の世界ができあがったのです。


■ケータイユーザの実情



ここで、「前略プロフィール」モバイル版ユーザに対するアンケートの結果をご紹介します。3000名の回答を、8月28日から1ヶ月で回収の予定でしたが、約3時間半で目標数に達してしまいました。夏休み、そしてお昼休みに実施したこともあり、ユーザの反応の速さ、敏感さがまず現象として明らかになったのです。


前略プロフを何のために使っているのか、フリーアンサーを書いてもらいました。回答を内容別に集計したデータがこちらです。最も多い回答、約4割が友達との交流/連絡手段を挙げています。これは当たり前の結果と言えますが、次に多かったのは、自己主張や名刺代わりといった、自分を知ってもらうためという目的を挙げた回答です。ケータイのコンテンツというのは暇つぶし感が重視されるのですが、前略プロフのユーザはコミュニケーションのほうを主張してくれています。なお、一部マスコミの報道に見られる「出会い目的」はどうなのかと言うと、「出会い」を挙げた回答は実際には1.2%しかありませんでした。


彼らのマーケットを探るために「1ヶ月で何に一番お金をかけていますか?」という質問もしました。1位は洋服/化粧品/ヘア・ネイル、2位はケータイ代、そして飲食、外出、雑誌・本などと続きます。楽天市場の中で、洋服などをモバイル販売している店舗や、着メロサイトなどから広告効果が高いという評価を得ており、広告枠が即日完売になるといった効果も出ています。


■実際の利用方法


前略プロフに新規登録をすると、プロフィールIDが発行されます。これは、ログインの他、友達に教えたり、IDを入力して検索するのに使われます。そのため、名刺交換がわりに使いたいユーザが、覚えやすい番号をとる競争をするようになりました。とりたい番号を何度もとって、削除して、という現象まで起こりました。最近はID登録を制限しています。前略プロフには、フリーワードで検索できる機能もあります。例えば「六本木」と検索すると「六本木ヒルズで働きたい」といった書き込みが見られたりします。このように、IDを友達に紹介する、検索をする、フリーワードでも検索する、という使い方をされているのです。


CGIBOYのゲストブックには、女子高生特有の「ギャル文字」が氾濫しています。U=し、LI=い、|-=ト、千=チなど、形の似た文字や記号に置き換えたり、絵文字を組み合わせる文化があります。困ったことに、ユーザからの問い合わせも、絵文字つきで送られてきます。名前も名乗らずギャル文字で書かれているので、サポートチームは解読が大変です。


ゲストブックの利用方法にも特徴があります。例えば、1人のユーザが延々と書き込みをしているゲストブック。書き込みに脈絡がなく、一見、意味不明なひとりごとか、システム障害が発生したのかと思うかもしれません。ところが、よく見てみると、「絡んでください」という書き込みがある。「絡む」とは、ユーザが生んだ言葉で掲示板上でやりとりをすることを指します。そこで「絡んで」いる別のユーザの書き込みと組み合わせて読むと、きちんと会話になっています。つまり、交互に「自分の掲示板で発言」することを繰り返して、相手と会話していたのです。他のユーザには何を話しているか分からないようにして、彼らなりにプライバシーを守っているわけです。コミュニティサービスというのは、サービス提供者が重いもかけない使い方をされるものだ、ということを見てもらいたいと思います。


■「前略プロフィール」に見る世代像と対応


2007年1月に、約20時間、1台のサーバがダウンしたことがありました。その間、ユーザからの問い合わせ件数が2,904件。「なんかプロフが勝手に消えちゃったw」「なんで消えてるんですか??まぢありえねぇんだけど!!」といった1行問い合わせが殺到しました。


楽天では、CGIBOYのほか、楽天ブログなど他のコミュニティサービスも包括的に対応しています。日次の問い合わせ報告、週次のレポートによる問い合わせ種別の集計、月次サマリーとサービス改善提案というサイクルで動いています。CGIBOYの問い合わせの中で非常に多かったのが、規約違反で削除されたり、登録・削除を繰り返すユーザへの対応でした。


前略プロフのユーザは、低年齢のため、ルールというのを理解しようとしません。分からなければ即、問い合わせてくるので問い合わせ件数が増える傾向にあります。また、ケータイ世代にはID・パスワードという概念がありません。なぜID・パスワードを入力するのかが分かっていないのです。そのため、パスワード忘れなど認証に関する問い合わせが多くを占めています。また、個人への誹謗中傷や情報の取り扱いに対するモラルの低さも見られます。


コミュニティサービスというのは、ツールであると同時に場であるので、トラブルが必ず起こります。トラブルが起こったときの対応、例えば個人情報削除の基準などを持っていることが重要です。そこで、通報に対する対応フローを決める、経営に報告することを徹底しています。現在、安心感向上のための運営強化を方針に挙げており、サポート、システム面に注力して手を打っています。


■他サービスとの連携


楽天グループにおいて、今年重視しているのが「楽天トライアングル戦略」というものです。楽天市場・楽天トラベル・楽天証券など決済系のサービス、ポイントシステムなどの会員サービス、そしてInfoseekや楽天ブログなど集客系のサービス。前略プロフィールは、集客系のサービスに位置しています。莫大なページビューと多くのユーザ、トラフィックに対する広告収入というサービスモデルになっています。


楽天では、グループ横断的なモバイル情報共有を行っていますが、その成果として生まれたのが前略プロフと「Fashion Style」とのコラボレーションです。


Fashion Styleは楽天Woman内のファッション検索サイトで、読者モデルを街頭で撮影させていただき、「代官山」などと検索すると、その街の人のファッションが見られるという人気コンテンツです。自己表現をしたい前略プロフのユーザの中には、モデル志願者が多いのではないか、だったらニーズをマッチさせようということになりました。


そこで、モデル志願者の方にプロフを書いてもらうことになりました。オーディションの流れは、プロフページの内容で一次選考、一般ユーザからのweb投票、実際のモデル活動へと進みます。現在は第3回の開催中で、グランドチャンピオン大会も開催されるほど盛り上がっています。オーディション合格者にはブログも書いてもらい、デビューまでの道のりがわかり、ファンもリアルタイムに応援活動ができるといった演出も行っています。


今後も、楽天市場やInfoseekコンテンツといったグループ内サービスへの連携・横展開を図っていくつもりです。




● 質疑応答


Q1 プロフの登録者はネット経由で入ってくるのですか、それともリアルの場で友人経由なのでしょうか?

A1 どちらの使われ方も多いですが、クラスぐるみで使っているところが多いです。クラスの何人かが始めると、プロフを作っていないと恥ずかしいということになるのでしょう。友人経由といっても、学校の教室の中というくらいのリアル感だと思われます。


Q2 男性ユーザが少ない理由をどう分析されていますか?

A2 女子高生の口コミで広がったサービスだからというのが一番の原因だと考えています。例えば、プリクラの普及と同じです。現在は、女子高生にフィットしたコンテンツであると言えるでしょう。


Q3 前略プロフの今のような成功を想定されていましたか?

A3 いわゆる、狙ったコンテンツはありません。もともとアクセス解析ツールのオプションサービスだったので、始めた2000年2002年にはここまで広がるとは予測していませんでした。利用者の広がりを見ながら、少しずつカスタマイズして現在に至っています。


Q4 トラブルを発見する方法はユーザの通報なのでしょうか、パトロールなのでしょうか?

A4 コミュニティサービスは運営するスタンスが重要です。サービスによって、すべて対応レベルが異なります。公的なサービスであればすべての書き込みをチェックして、厳密なチェック体制を敷いています。プロフは通報による割合のほうが多いです。20名体制でチェックをしていますが、トラフィックが多いため、全てをパトロールすることは困難です。


Q5 前略プロフは高校生ユーザが多いとのことですが、高校を卒業した後、20代になっても使ってもらう施策はありますか?

A5 ユーザは成長していきますから、ケータイを卒業したらPCのSNS、疲れたら2ちゃんねるのようなコミュニティに移っていくというのが一般的ではないでしょうか。前略プロフ単体を見ると、何十年も使い続けるとは考えにくいです。前略プロフから他のサービスへの橋渡しを充実させ、彼らの成長に合わせたサービスを用意する方向性を考えています。


2007.10.24
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