Vol.32

逆SEO「レピュテーション対策」で売り上げ急伸

株式会社エルテス 代表取締役社長

 今回のEビジネスマイスターの菅原さんは、東京大学中退という経歴と、その風ぼうからなんとなくホリエモンをイメージしながら話をお聞きしましたが、ある意味天才的な感覚をお持ちなのではないかと感じたりもしました。(もっとも、ホリエモンの頭の大きさはルチ将軍を連想するほどなのですが…)

 その菅原さんの現在のビジネスは逆SEOといわれている「レピュテーション(評判)対策」というべきサービスです。ネット上での誹謗(ひぼう)中傷等で被害を被る企業のための対策として売り上げを急伸させています。そんな、菅原社長に現在に至るまでの経緯をお聞きしました。

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Eビジネスマイスター:菅原 貴弘

株式会社エルテス 代表取締役社長

1979年生まれ
2004年、東京大学在学中に株式会社エルテス創業、代表取締役社長に就任
2005年、事業に専念するために東京大学経済学部中退

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sugawara3.jpg―菅原さんは学生時代に起業されたんですよね。

菅原氏
 そうなんですが、実はこの会社は2社目なんです。東大在学中に、ある投資家の方に出会いハードウエアのベンチャーを立ち上げたんですが、失敗しました。


―そういった投資家さんと知り合うきっかけはどういうところにあったんです?

菅原氏
 実は、孫正義氏の弟の孫泰蔵氏の奥さんのホームページを無料で作ったことがあって、大学2年生のころとある投資家の方を紹介していただいたんです。


―へぇ~、そうだったんですか。ちなみに最初の会社は何年くらいやられたんですか。

菅原氏
 2年くらいですかね。事業のほうはおもしろかったんですが、資金繰りがうまくいかなかったので、結局会社をたたむことになっちゃいましたね。


―そういえば、世間ではあのもえちゃんのご主人として有名になった尾関茂雄氏(現ECナビの創業者)の名前がありますけど、創業メンバーのおひとりなんですか。

菅原氏
 いえ、2~3年前から取締役をお願いしています。実は、起業する前に尾関さんの会社でインターンをしていたことがきっかけです。


―ところで、逆SEOといわれている現在の「レピュテーション(評判)対策」サービスが、大変評判になっていますが、その前進としてSEOサービスをやられていたようですが、それはいつごろから始めたんですか?

菅原氏
 2008年1月からですね。けっこう後発だったんですけど、ビックキーワードでも上位表示できるというテクノロジーを売りにして順調に業績を伸ばしています。


―SEO対策をはじめたのは、どういったきっかけで?

sugawara2.jpg菅原氏
 費用対効果が見込めたからというのが大きいですが、厳密にいうと僕の友人がやっている中国のネットマーケティングの会社に投資をしていて、その会社と一緒にやり始めたのがスタートですね。


―後発のSEO会社でもうまくいっているのはなぜだとお考えですか。

菅原氏
 簡単にいうと、IP分散がうまくいっているからだと思います。ただ、IP分散でも単純なIP分散サーバーを借りるとそこのIPレンジがGoogleに押さえられてしまうんです。そうなると上位に上がらなくなってしまうので、海外のサイトを独自で開拓したんです。優良リンクを買うにしても中国の優良リンクを買うなど、どこで媒体開拓していくかということを独自に展開していったのがよかったんだと思いますね。ここが弊社のサービスの強みです。


―しかし、SEOサービスを展開する会社は星の数ほどいますが、並みいる競合の中でどういう営業展開をされていったのですか。

菅原氏
 あまり他社との差別化はしていないんです。クライアントも代理店経由だけでなく、自分で獲得しに行っていますから。


―じゃあ、菅原さんご自身で営業もされるんですか?

菅原氏
 僕が営業もやりますね。やはり、社長がマーケットニーズを知らないと、間違った判断することが多くなるので、僕が営業するのを基本にしています。


―ちなみに、代理店はどういうふうに発掘しているんですか。

菅原氏
 無差別にテレアポ入れています。ネットで検索して、大手の代理店じゃないところを中心にお願いしていますね。今は、10社以上の代理店と契約しています。


―なるほど、いいアイデアですね。菅原さんはいい代理店ってどうやって見つけるんですか。

菅原氏
 いろいろと経験しましたが、結論としては「いい商材じゃないと、いい代理店はつかない」ということがわかりましたね。商材がありふれたものだと売れないんです。代理店は、ニッチでニーズがあるいい商品かどうかで決まると思いますね。誹謗(ひぼう)中傷のニーズは潜在的に誰でもありますから、代理店も売りやすいと思います。


―そのニーズはどうやってつかんだんですか。

菅原氏
 SEO対策を始めてから半年くらいたったころ、営業の最中にですね。動画配信システムをやっていたときの失敗の原因は、トレンド狙いでニーズを見ないで始めたこと。今回うまくいったのはニーズベースで新商品を作ったからです。


sugawara4.jpg―今後、このレピュテーション(評判)対策サービスに関しての市場規模はどのように拡大していくと考えてますか。

菅原氏
 そうですね。現状は競合がほとんどいませんので、僕らが今後どのくらい頑張るかにかかっていると思います。企業だけだと市場規模は3~5億円程度までは拡大すると見込んでいます。

 最近、国会議員は職業柄誹謗(ひぼう)中傷が多いのでお問い合わせが増えています。芸能人からのお問い合わせは少なくないですね。そういった著名人の方々からのニーズまで含めると何十億という規模になる可能性はありますね。


―じゃあ、あまり営業しなくても大丈夫なんじゃないですか。

菅原氏
 確かに営業しなくても顧客は増えているんですが、それでも営業はしますね。というのも、仮に競合他社が出てきたときのために、弊社の名前とサービスの内容を知ってもらっておかないといけないと思っていますから。そういうことも考えて、現在の上場企業にはほとんど電話しましたよ。


―直接電話したんですか。上場会社だと、電話してもなかなか話を聞いてくれないんじゃないですか。

菅原氏
 いや、けっこう会ってくれますよ。ただ、実際の被害が出ていないから「今はやらない」という会社がほとんどですね。

 テレアポをやって僕がわかったことは、単なるSEO対策やホームページ制作だけではありふれているから電話を切られて話も聞いてもらえない。でも、新しい商材であれば、まともな会社なら興味を持ってもらえます。動画共有システムも結果的には売れませんでしたが、当時は新しいシステムでしたから必ず会ってはもらえましたし。昨年だけでも400社くらいは訪問しましたね。


―よくいわれることですが、やはり営業力が勝敗を決するということですね。

菅原氏
 それがないとビジネスはやっていけないですよ。単純にテクノロジーだけではやっていけませんから。特に日本の場合は、テクノロジーよりも営業力が強い会社が勝っていますし。ただ、あくまでもいい商材での営業ということが前提となりますけどね。営業力は今後も強化しますけど、商品開発に力を入れないと今後の発展は望めないと思います。


―では、レピュテーション(評判)対策サービスについて簡単に紹介していただけますか。

eltes.jpg菅原氏
 うちの商品は大きく3つあります。「関連検索の変換サービス」と「直接サイトの排除サービス」と「検索結果の健全維持サービス」です。

 「関連検索の変換サービス」とは詐欺などのイメージの悪いワードを違うワードに変換することです。「直接サイトの排除サービス」は悪口が記載されているサイトは上位表示させないように下げるサービスで、「検索結果の健全維持サービス」キレイな検索結果を維持します。


―例えば「2ちゃんねる」に誹謗(ひぼう)中傷が書かれていて上位掲載されている場合に、下位に下げるということですよね。「2ちゃんねる」を削除するわけにはいかないと思うんですけど、どうやって対策するんですか。

菅原氏
 ほかのサイトを作って上位にあげて上位を独占していくんです。


―SEO対策で上位にあげていくよりもそういった手法は簡単なんですか?

菅原氏
 厳密にいうとGoogleは難しいですね。Googleの場合は、いい評価と悪い評価と両方とも表示するので、SEO対策だけでは上位から全然悪口が消えないんです。それでもできるのはうちの会社だけなんです。外部リンクを貼るだけの単純なSEO対策では、悪口は消えませんね。


―なるほど、現在あるページの順位を下げるためにその上位に別のページを差し込んでいくということですね。

菅原氏
 そうです、単純ではあるんですけど。難しいんですよ(笑)。


―菅原さんは結構いろいろなことをやられていますけど、今後もSEOだけにとどまらない感じですね。

菅原氏
 結局はイノベーションが必要だと考えています。イノベーションを起こして、世の中を変えていこうと思っていますので。


―世の中を変えるために何か具体的なことをされているんですか。

菅原氏
 行動としてというわけではなく、商品を通して世の中を変えようと考えています。まったくなかった誹謗(ひぼう)中傷対策の市場を開拓したということも、世の中を変えたことには変わりないですから。ただ、あくまでもニーズがないと成り立たないと思うので、ニーズから展開したイノベーションは成功する確率が高いと思いますね。


―ベンチャーへの投資ということには興味をお持ちなんですよね。

菅原氏
 投資そのものというよりもビジネスを作ることに興味がありますね。別にそのビジネスを自分が作ろうと、ほかの人が作ろうと構わないんですけど。


―海外にはよく行かれるんですか。

菅原氏
 そうですね。スタンフォードに友達がいますし、海外で起業している友達もいますしね。

 アメリカの場合は「賢い人はベンチャーをやる」ってよくいいますよね。それはアメリカの文化だと思っていたんですけど、最近は文化ではなく単に日本人が資本主義に対する理解が足りないだけだと気づいたんです。つまり、資本主義のエンジンって起業家しかいないわけですから、そこに優秀な人材をおくりこまなければならないのに、なぜか共産主義に近い考え方になっている。どうすれば資本主義がきちんと機能するかということを理解できれば、そこに一番優秀なリソースを送らなければならないということを理論的に考えられると思うんですね。この理解は日本の経営者でも分かっていない人が多いのではないかという気がしますね。起業家がいなければ何も生まれません。そういう意味でもイノベーションと起業というのは一番重要だと思いますね。


―将来的には菅原さんご自身がもっといろいろとビジネスを立ち上げるということになりそうですね。最終的に目指すものは何ですか。

菅原氏
 最終的にはビジネスよりも政治の方に行きたいと思っていますね。ただ、しっかりと確立してから次のステップとして進んでいきたいですね。例えば、経常利益100億とか1000億とか出した暁に、といった感じになりそうです。ビジネスを中途半端にすることはしたくないので。


―じゃあビジネスのかたわらで政治の勉強もされているんですか。

菅原氏
 そうですね。自民党の人や民主党の人とかとお話することもありますよ。本当に政治のことを理解している議員は少ないような気がしているので、僕はしっかりと政治のことも学んでいきたいですね。



更新日時[2009/09/03]

今回のキーワード:レピュテーション(評判)対策サービス

Web 2.0によってCGMが普及した結果、悪意のあるユーザーによって、書かれた誹謗(ひぼう)中傷および風評の被害を抑止するサービス。特に、検索エンジンで、会社名・ブランド名・社長名を検索した際の被害を抑えることをいう。最近では、テレビCMなどからネットに誘導することが多くなっており、その際に検索結果が汚れていると、テレビCMが逆効果になっているという調査結果も存在する。

聞き手:木村 誠

1968年長野県生まれ。2000年6月より『Eビジネス研究所』として ITおよびネットビジネスに関する研究、業界支援活動をスタート。2003年4月『株式会社ユニバーサルステージ』設立。代表取締役として、ITコンサル ティング、ネットビジネスの企画・立案、プロデュース全般を行う。2006年ネットビジネスのイベントとしては国内最大級1000人規模『JANES- Way』実施。2007年4月よりIT業界に特化した職業紹介『ITプレミアJOB通信』をスタートさせ好評を得る。ASPICアワード選考委員。デジタ ルハリウッド、トランスコスモス、マイクロソフトなど講演多数。

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