Vol.26

利益率の高いBtoCでのビジネス展開目指す

株式会社アドウェイズ 取締役COO

 「Eビジネスマイスターに聞く!」では、IT業界の次世代を担うキーパーソンを「Eビジネスマイスター」と称し、Eビジネス研究所 代表理事の木村誠氏がさまざまな話を伺います。今回は、株式会社アドウェイズ取締役COOの松嶋良治氏に話を伺いました。

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Eビジネスマイスター:松嶋 良治

株式会社アドウェイズ 取締役COO

大学卒業後、(株)インテリジェンスに入社。その後、米国のサイト運営会社の日本法人立ち上げメンバーとして、サイト構築、営業マネージャーを兼任。また、設立間もない米国系企業の日本法人にて営業マネージャーを務め、約2年間で売上を20倍にした実績を持つ。現在は、コンテンツ制作を展開する(株)アドウェイズ・エンタテインメントと、雑誌「ビーズアップ」等の出版事業を行う(株)アドウェイズブックスの代表取締役として、企画制作や提携戦略に至るまであらゆる業務を担当。

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―松嶋さんは、大学卒業後、最初はネット系ではない会社に就職されたそうですね。

matusima5.jpg松嶋氏
 どこかの会社の人事担当になるつもりで就職活動をしていました。会社の将来は「誰を採用し、どこに配置するか」で決まると思っていたからです。なので、職種別採用で人事担当を募集している会社のみを受けていました。何社からか内定をいただいたのですが、「ほかの会社の人事のことを知らないのに、初めから一つの会社の人事担当になってしまっては世間が狭くなる」と思い、就職活動をやり直しました。


―それで、インテリジェンスに入社されたんですね。

松嶋氏
 人材関連の会社に入りたいと就職活動をしていましたが、人材系の会社は大半が自社ツールを持っていて、そのツールを売ることが仕事になってしまうのでそれはやりたくないと思っていました。いろいろ調べた結果、インテリジェンスは何のツールも持っていなかったので、この会社はこれから伸びる会社なんだと思いました。また、当時の社長が宇野さん(現・株式会社USEN代表取締役社長)で、ほかの社員の方も人間的に素晴らしい方々ばかりで、この会社の将来性を感じて入社しました。


―実際に入社されてみて、インテリジェンスはどんな会社でしたか?

松嶋氏
 同期はほとんど起業家志望でした。平均消灯時間が午前3時くらいで、休みもほとんどない会社。ただ、僕はとにかくものすごい勢いで働きたいと思っていたので、そういう会社で働けてよかったですね。結局インテリジェンスには1カ月半くらい在籍しました。


―インテリジェンスで学んだこと、身につけた能力は何ですか?

松嶋氏
 身につけたものは、営業力ですね。とにかく営業ばかりやっていました。ただ、仕事に対する姿勢に関しては、僕は宇野さんに影響を受けたと思っています。宇野さんのすごいところは、誰よりも丁寧に仕事をするということ。営業をガツガツするタイプの方ではないのですが、謙虚でとても腰が低い方。電話も立ち上がって礼をしながら対応されますし、僕の入社試験の面接の時もすごい角度のお辞儀をされてこっちが驚いたほど。一度、営業同行に来ていただいたときも、本当に腰が低くてすごいなと尊敬しました。


―インテリジェンス退職後、いろいろな会社へ転職されたそうですが、どういった経緯でネット業界へ入られたのですか?

matusima3.jpg松嶋氏
 そうですね。数社転職しましたが、初めてネット系の会社に就職したのはeラーニングの会社。その後にショッピングポータルサイトを運営している会社に転職したときですね。検索サイトの次に絶対ショッピングポータルサイトがくると思っていたので、アメリカではナンバーワンのシェアを誇っていた会社に転職しました。ただ、ちょうどネットバブルが崩壊し、インターネットビジネスに対して懐疑的な風潮が高まったことも影響して、わずか1年弱で撤退してしまいました。その後、プロモーションズに転職しました。


―アドウェイズとは、どのような経緯で知り合ったのですか。

松嶋氏
 プロモーションズで働いていたころ、突然アドウェイズから連絡をいただきました。はじめは何の会社かわからなくて(笑)。そしたら「アフィリエイトをやらないか」という岡村さん(現・同社代表取締役社長CEO)直々の売り込みでした。当時のメディア会社にとってはアフィリエイトを導入してもあまりもうかっていなかったので、正直やる気はなかったんですけど、頑張っているのは理解できたので何か応援したいと思いました。そこで逆に僕が「うちの媒体の代理店にならないか」と逆プレゼンして、その場で代理店契約を結ぶことに(笑)。


―その後どうやってアドウェイズに入社されたんですか。

松嶋氏
 その後、岡村さんが「松嶋さんがアドウェイズに入ったらすごくもうかるんじゃないか」と、僕をアドウェイズに誘ってくれました。アドウェイズの営業マンが、僕をアドウェイズに入社させるミッションを達成するために、月に何回も会いに来ることも。岡村さんからも「来月から一緒に働きませんか」とか「役員会で松嶋さんが入社するって言っちゃいました」とかたびたびメールもいただきました。すぐに入社することは考えていませんでしたが、僕ができることはいろいろやってあげようと来てくれる営業マンに何とか売上がつくように、アフィリエイト関連の仕事を発注したりはしていました。

 当時アドウェイズは上場を目指していましたが、売上はそこそこの状態でした。岡村さんは中卒で、最年少上場記録を打ち立てることができるチャンスがあったので、学歴社会を見返して、実力社会をアピールするためにも、上場してほしいと思い、2004年に入社しました。


matusima6.jpg―アドウェイズに入社してからはどんなお仕事をされていたんですか。

松嶋氏
 営業をやるつもりで入社したら、いきなり資金がショート寸前でした。これはマズイと思い、2週間会社に出社せず家で事業計画書を作ってベンチャーキャピタルにプレゼンをしました。その結果、大手3社から融資をしてもらえることになりました。アドウェイズの社員は若い人間が多くて、誰もが知っているような大手のベンチャーキャピタルから融資してもらえるようになったことで、社内のモチベーションが随分上がりましたね。社員一人ひとりが「今やっている仕事は、将来的にすごいビジネスになるんだ」と思いながら働けるようになったんです。これを機に会社の雰囲気が変わりましたね。


―それ以外は、どんなことに力を入れてこられたのですか。

松嶋氏
 僕は営業力を期待されていたので、まず営業の資料を全部見直して誰もがわかる資料に作り直しました。そして、競合の多いPCのアフィリエイトから競合の少ないモバイルアフィリエイトにシフトしていきました。その結果、モバイルアフィリエイトの「smartC」が売上全体の8割を占めるようになりました。

china.jpgあとは中国向けにビジネスを展開したことですね。そのころは、中国向けに何かを展開している会社は1社もありませんでした。実は、アドウェイズは当時SE 不足で、日本ではまだ会社の知名度もなかったこともありSEの採用がうまくいっていませんでした。たまたま中国人の技術担当がいたこともあり、中国だったら人口も多いし、優秀なSEもいるということで中国に目を向けるきっかけになりました。そもそも経済的なマーケットに魅力を感じたわけではなく、あくまでも人材を求めていたんです。そこで「中国で事業をやっても面白いのではないか」と、アフィリエイト事業を中国でも開始しました。


―マザーズに上場したのが2006年ですが、そのとき描いていた構想は?

松嶋氏
 入社時は単月赤字だったけど、その後黒字に転換。上場の時には入社当時の売上の10倍になりました。モバイルアフィリエイトでシェアをとるために70人採用して赤字になったこともありましたが、その後黒字に転換できました。そういったこともありアドウェイズが上場したときは周囲に驚かれましたね。上場できたのは、他社とは圧倒的に構想が違ったからだと思います。ただアフィリエイトをやっていくだけではなく、モバイルアフィリエイトのシェアはナンバーワンだし、中国でのアフィリエイト事業もやるということで、マザーズが今後の成長を見込んでくれたんだと思います。


―松嶋さんが一番苦労されたことは何ですか。

松嶋氏
 いろんな会社に転職してきましたが、特にベンチャー系の会社に転職することが多かったので、その中に入っていくのが一番難しかったですね。ベンチャーの場合、創業時からのメンバーが多いですから、いきなり幹部として中途入社する人間は外様大名みたいなものですから(笑)。だから、入社したからにはとにかく結果を出さないといけないと思っていましたね。


―将来的には、どういったことを考えてらっしゃいますか。

matusima1.jpg松嶋氏
 今、アドウェイズはBtoBメインに展開していますが、BtoBの場合クライアント先の予算次第のビジネスになってしまう。だったら、BtoCのほうが堅いビジネスだと思うようになりました。BtoCの利益率は高いので、そのブレを支援できるようなビジネスを展開したいと思っています。

 さらに、事業をグローバルに拡大するのであれば、アフィリエイトだけではなくメディアやコンテンツ事業もやりやすいと考えているので、いろいろなコンテンツを抱えてゆくゆくは海外に進出したいですね。 

更新日時[2009/07/16]

今回のキーワード:中国Web広告事情

 3億人のインターネット人口を抱え、米国を抜いて世界でトップとなった中国のインターネット市場。しかし、人口比ではまだ未開拓であり、世代的にも40 代以上のインターネット利用は少ない。広告もユーザビリティを無視した掲載手法が多く見られ発展途上の段階にある。そのため、20~30代をターゲットとしたウェブ広告の技術開拓と40代以上の囲い込みのためのEC戦略、さらに3G普及を視野に入れたモバイル広告の展開が予想されている。

聞き手:木村 誠

1968年長野県生まれ。2000年6月より『Eビジネス研究所』として ITおよびネットビジネスに関する研究、業界支援活動をスタート。2003年4月『株式会社ユニバーサルステージ』設立。代表取締役として、ITコンサル ティング、ネットビジネスの企画・立案、プロデュース全般を行う。2006年ネットビジネスのイベントとしては国内最大級1000人規模『JANES- Way』実施。2007年4月よりIT業界に特化した職業紹介『ITプレミアJOB通信』をスタートさせ好評を得る。ASPICアワード選考委員。デジタ ルハリウッド、トランスコスモス、マイクロソフトなど講演多数。

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