Vol.1

上場・社名変更後に描くこれから

ngi group株式会社 代表執行役社長CEO

 Eビジネス研究所が開催する「Eビジネス研究会」では、IT業界の次世代を担うキーパーソンを「Eビジネスマイスター」として講師に招き、業界の動向や将来のビジョンについて、参加者とのインタラクティブな質疑応答を交えたセミナーを行っています。今回、Eビジネス研究所 代表理事の木村誠氏が、9月28日にEビジネス研究会の講師として登場していただく小池氏に、米国生活での経験を生かしたガバナンスの効いた経営などの話を伺いました。(編集部)

prof

Eビジネスマイスター:小池 聡

ngi group株式会社 代表執行役社長CEO

日米中におけるIT・投資業界での約25年の経験を生かしベンチャーの育成に注力。iSi電通アメリカ副社長、iSi電通ホールディングスCFO兼Netyear Group, Inc. CEOなどを歴任後、1998年にNetyear Group, Inc.をMBOし独立。1998年(株)ネットエイジ社外取締役就任。1999年に日本法人ネットイヤーグループ(株)を設立。(株)ネットエイジグループ代表取締役を経て現職に至る。
ngi group株式会社 マザーズ:2497

prof
ngi01.jpg―聞いた話に、小池社長は朝が早いと。例えば、今朝は何時起きくらいで?

小池氏
 今朝はね、4時45分。


―4時台!? いつもそんな感じなんですか? 若い頃からそうだった?

小池氏
 若い頃はやっぱり...80年代バブルのサラリーマンでしたから、夜遅くて、朝はきつかったですよ。早起きになったのはアメリカに渡ってからです。早寝早起き、っていっても寝る時間までは惜しみませんが。中国やベトナムでも朝6時に出勤している人がたくさんいます。日本くらいですよ。フレックスタイム制をいいことにダラダラ出勤時間が設定されているのは。海外はけっこう、みんな朝早いんですよ。定時で働いて、5時きっかりになると、Byeって。


―バリバリのビジネスマンでも遊んじゃうんですか? それとも、仕事の後に勉強に行くとか?

小池氏
 ニューヨークにいた頃は、周りはみんな5時きっかりに帰って、家族との時間をとる人、夜間の学校に行く人、趣味を楽しむ人、1日を2倍も3倍も有効に使っている。彼らを見習って、朝型に切り替えました。

 働き方の違いの他にも日本のベンチャーには島国根性的なところがあると思いました。同じことを日本の国内だけで考えるのと、グローバルに考えるのとでは結果が変わることがありますから。もっとグローバルな市場に出ていくべきですね。


―ngi groupも、今海外に出てらっしゃいますよね。中国とかベトナムとか。

小池氏
 ええ、マクロで見ると、日本のGDPは2.2%くらいの成長ですが、中国は11%以上、ベトナムも8%以上成長しています。21世紀はアジアの時代です。ngi groupはアジアの成長を収益化していきます。日本のベンチャーも、アジアの一員として、先行しているノウハウを積極的に海外展開して行くべきだと思います。


―新生ngiについてはセミナーでじっくりお話しいただくとして、ここで、ngi groupが何の会社なのかご紹介したいんですが、ベンチャーキャピタルって言ってはいけない?

小池氏
 ngi groupは、純粋持株会社です。純粋持株会社というのは、基本は投資会社なんですよ。事業会社に資金や人材を投資して、リターンを得るっていう。ただまあ、投資会社っていうと、ベンチャーキャピタル的な意味合いが強いんでね。ベンチャーキャピタル業を内包した企業コングロマリットというのが今の姿。

 ベンチャーキャピタルが、上場することは欧米ではあまりないんです。上場するからには、アメリカ流のガバナンスの効いた経営体制を整えようと最初から思っていました。

※コングロマリット:コアコンピタンスに直接関係のない事業も抱えた複合企業のこと。ngi groupは、セカンドライフなどの3Di新市場の開拓と、海外展開の両面から多角化を行っている。

―ngi groupをこういう体制にしたきっかけといいますか、経緯は? 前代表の西川さんの意向はどうだったんですか?

ngi04.jpg小池氏
 今回の人事は、社外取締役から指名をされました。

 私はもともと、ネットエイジのリードインベスターでした。上場ができたところで最初の役割を果たせたと思ってたら、指名委員会から代表に指名されたんです。

 西川が創業したネットエイジはネットビジネスのインキュベーター。ベンチャーを育てるということで素晴らしいビジョンを持っていました。そういったビジョンと、ビジネスとして儲かるかどうかは別の観点ですから。創業精神を貫くのであれば上場しないという選択肢もあるわけなんですが、上場してパブリックな会社になったときから、利益を株主に還元しなければなりません。西川からも、次のフェーズは私に任せたいという話がありまして。

※リードインベスター:ベンチャービジネスに投資しているVCの中で、最も中心的な役割を果たすVCのことを指す。

ngi06.jpgngi groupの経営と執行体制。委員会設置会社に移行することで、指名や報酬、監査に対する透明性を確保している。取締役会では社外取締役が多数を占めるとともに、社外取締役による委員会も設置されている。社外からの監視機能が働くとともに、経営と業務執行を切り離していることが特徴だ
―最近は増えてるみたいですよね、共同経営者っていうのも。

小池氏
 これまでは西川と共同代表でやってきましたが、社外取締役から一本化したほうがいいんじゃないかということになりました、西川からも任せるからには経営執行から外れ、取締役会長としてサポートすることになったんです。


―上場することで周りの何が変わって、さらに社内的な動きとか、両面でいうとどんなことに目を配ってらっしゃる?

小池氏
 急成長したベンチャー企業の体制は外からは見えにくいものでしてね。もちろん、上場したベンチャー企業の中には地に足のついた堅実な企業っていうのもたくさんあるわけですが、株主に信用していただくには透明性が非常に大切です。ディスクローズ、積極的に経営情報を開示する姿勢が必要ですね。

 創業社長的な考えだとね、儲からなくてもビジョン先行でやるっていう、事業への思い入れがどうしても出てくるんですよ。CSRのためにやるみたいな正当な理由があればいいんですが、上場して公の企業になると、せっかくの意欲も利己的だととらえられてしまう。

 特に上場企業では、「全体最適」という考え方が重要になってくる。各事業を回すことを考えるのが「部分最適」であるのに対して、全体最適の視点に立ったら、会社全体のクライテリア(基準・標準)のもとで撤退基準を明確に決めて、冷静に事業の切り捨ても実行しなければなりません。

 ngi groupでは、この全体最適と部分最適のバランスを取ろうとしています。取締役の各委員会は社外取締役のみで構成し、経営の監視機能を強化する一方、経営執行は取締役会から権限を委譲してもらいスピーディーな意思決定ができる体制を構築しています。


―ホリエモン逮捕以来、「会社は誰のもの?」っていう議論が多いですが、小池社長のご意見は?

小池氏
 私は、会社とはステークホルダーとの関係の中で存在するものだと思ってます。株主、従業員、お客様・・・。たくさんのステークホルダーのために会社を成長させなければなりません。しかし、会社を成長させるにあたって、経営にはインテグリティー(高潔さ)が必要です。どんなに儲かりそうでも、法律や社会に反することは行ってはいけません。特に上場企業になると、その責任は大きいと思います。

※ステークホルダー:事業に直接的、間接的に影響を及ぼし合う利害関係者のこと。ngi groupは、日本のベンチャーを広くステークホルダーととらえ、M&Aやアライアンス戦略を積極的に推進している。

ngi02.jpg
Eビジネス研究所 代表理事の木村誠氏
―僕は、Eビジネス研究所のカンファレンスにIT担当大臣をお招きしたことがきっかけで先日、産学連携の会議に呼ばれまして。産学連携支援でベンチャーを作っていこうという動きがあったんですよ。ベンチャーがちゃんと育ってない、ってことで。

 ngi groupとして、あるいは西川さんも目は国外に行ってて国内にはない、もう日本企業は育てずに海外に目を向けちゃうってことですか?


小池氏
 いえいえ、そんなことは。技術ではアジア市場を間違いなくリードしてるわけですから、あとはイノベーションを生み出すカルチャーの問題だと思いますね。具体的には、失敗を恐れてしまう日本的な考え方を克服できるかどうかというところで。

 シリコンバレーには、right to challenge(挑戦する権利)とfreedom to fail(失敗する自由)という言葉がありまして。失敗を失敗としてではなく、チャレンジの結果と考える。チャレンジをするほど、失敗する確率が高いって言うんです。日本にも、こういうチャレンジをたたえる文化が生まれてほしいと思いますよ。ただ、失敗をしたとき深みにはまるのはよくないんです。早く決断を下して、リセットをするということが、成功するための姿勢として大切かなと。

 かなり昔の話ですが、かつてビル・ゲイツが世界最大のITコンファレンスである「COMDEX」の基調講演で、「インターネットはビジネスにならない」と発言したことがありました。結果はご存知の通りです。ビル・ゲイツは翌年の基調講演で間違いを素直に認めて、そこからマイクロソフトのインターネット戦略は大きく転換していくわけですけれども。

―当時のインターネットって、ちょうど今のセカンドライフみたいな状態?

小池氏
 インターネットも黎明期のころはビジネスにならないとの論調が大半でした。しかし、今ではビジネス、生活に欠かせない社会インフラとなっています。このインターネットが次の時限へ大きくパラダイムシフトを起こそうとしています。それが3D internetと言われるバーチャルワールドの分野です。この分野もビジネスとして懐疑的な意見が多いのですが、私は大きな可能性を信じて事業に取り組んでいます。こういう黎明期こそ、大きなビジネスチャンスがあります。失敗とチャレンジを果敢に繰り返していきたいと思います。


―ありがとうございました。では当日(9月28日)のセミナーを楽しみにしています。

更新日時[2007/09/20]

今回のキーワード:コーポレートガバナンス

「企業統治」と訳され、企業価値や社会的信用を高めるための経営システムをさす。ngi groupは委員会設置会社への転換を中心に据え、コーポレートガバナンスの強化を図っている。社外取締役を委員会に入れることで、意思決定が客観的なものとなり、経営が外から見えるよう情報開示が進むという効果がある。同社は組織再編、コンプライアンス、内部統制、情報セキュリティ、リスク管理などを重点実施項目としている。新興企業全体が信用を失って低迷する中、まじめに経営をするというコーポレートガバナンスを実践することにより、企業を理解してもらう姿勢が重要であると小池社長は語っている。

聞き手:木村 誠

1968年長野県生まれ。2000年6月より『Eビジネス研究所』として ITおよびネットビジネスに関する研究、業界支援活動をスタート。2003年4月『株式会社ユニバーサルステージ』設立。代表取締役として、ITコンサル ティング、ネットビジネスの企画・立案、プロデュース全般を行う。2006年ネットビジネスのイベントとしては国内最大級1000人規模『JANES- Way』実施。2007年4月よりIT業界に特化した職業紹介『ITプレミアJOB通信』をスタートさせ好評を得る。ASPICアワード選考委員。デジタ ルハリウッド、トランスコスモス、マイクロソフトなど講演多数。

プライバシーポリシーお問い合わせ運営会社